輝かしい才能たちが
ターフに煌めく世代にあって、
彼女の戦績には鬱屈としたものが漂う。

勝者への称賛の裏で、
どれほどの辛酸を嘗めてきただろう。
土埃に塗れた背から、
その想いを窺い知ることはできない。

ただ……
目深に被った帽子から微かにのぞく双眸には
悔しさとも、怒りともとれる炎が
静かにゆらめいているように見えた。

世界を相手取る大舞台に、
薄青いマントがはためく。
これまでの鬱屈を振り払うように、
すべての期待と予想を覆し走るその姿は――
いつか世界を制したあのウマ娘と重なった。

――ああ、きっと彼女も
偉大な海へ漕ぎ出すだろう。

遠く世界へ羽ばたくように、
ゴール板をマリンブルーが彩った。